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JMHの新放送スケジュールについての考察

 3月に行われるスケジュール変更について、変更点とその意味を、気象研究をされているT-INOUE氏に
解説してもらいました。
注意:あくまで個人的見解であり、公的気象業務やJMH利用者に影響を与える事が目的ではありません。

第一稿040209(今後書き換わる可能性があります)リンク切れ改定
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JMHに関してですが、基本的な話から始めます。

JMHの改正は、1988年に気象庁が気象官署向けへの放送という役割に終止符を打って、もっと無線を使って
受信している利用者へ向けて放送をのスローガンで大改正をした経過があります。

このころに発行されていた、気象模写放送スケジュールと解説(1988年以前のもの 日本気象協会発行)を
見て頂くと、かなり違った姿をしていることが分かるかと思います。

今回の放送スケジュールでは、具体的に次の内容がなくなりました。添付しましたPDFファイルにあります、
黄色で塗った時刻資料ががなくなるものです。

現在、インターネットでは北海道放送や国土環境、国際海洋気象などのサイトで公表されている資料のうち、
12UTCと23UTCに放送されていた資料は、国内では公表されなくなります。

このあたりの情報は、数値計算資料として公表されている予想図で、今後は、 MTSATのLRIT若しくは、
HRIT(HiRIT)で、GRIB(格子点計算値をバイナリー化した資料としてコード化する)形式で配信することを
決めています(WMOに示した計画資料による)。

今回の特徴は、海洋向けという色彩が濃くなっていますが、不十分であるかも知れません。

改良点

  1.受信状態の問題から、再放送の数を増やしている。
    特に地上解析図の再放送の数が、3回になったのが特徴

問題点

 1.数値計算資料がなくなったこと

    大気の立体構造の検討が必要で、低気圧などの発達や衰弱に直接関係する12,36時間の
    12時間単位の予測情報がなくなる。

 2.長期航海するにあたり、120時間先までの予測資料がなくなること

 3.波浪予測図が1回/日 だけしかない。

海洋向けとはありますが、かなり手抜きの要素があるので、JMH利用者をさらに減らすような色彩もありますし、
MTSATを利用するよう進める計画があるのかも知れません。

海洋関係では、インマルサットで受信するにしても、経費的にはJMHよりも高くなるのではないかと考えられます。

将来的に、さらに高速で配信可能なMTSATによる配信を考えているようですが、利用範囲が広くはなっても、
内容的に不十分であることは、予測できそうです。

−了−
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